⑥幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
私の不思議な体験は、二学期も終わり、冬休みに入った頃。
大晦日の夜のことです。
運動会に、発表会と行事を乗り越え、確実に成長していくゆうた君。
行事の時は補助で先生がつきサポートをしながらにはなりますが、他の子たちと変わらず過ごすことが出来ました。
このような行事や発表なんかは、色々我慢することもでてきますよね。
でもその経験を経て、それを乗り越えたときにある達成感を、ゆうた君も確かに感じている様子でした。
これまでの二学期間を振り返りながら、布団に入りました。
そして、私は夢を見たんです。
「ちょっ…ゆうた君しゃべってるよおおおおお!!!!!」
……というところで目が覚めました。
ですがなんだかとてもリアリティのある夢で、まるで本当にそこにいたような感覚が残っていました。
次の出勤の時には、他の先生仲間に興奮しながら話したのを覚えています。
「そうなったらいいわね~」なんて話しながら、あっという間に冬休みが終わり、子どもたちの登園日となりました。
やっとみんなに…ゆうた君に会える!
ゆうた君は元気に登園してきました。
とにかく元気に来てくれたその姿を見ただけで嬉しくなります。
挨拶のままの勢いでゆうた君は私に話しかけてきました。
なんと、ゆうた君が上手にお話ししているではありませんか!!
私は思わず耳を疑いました。
冬休み前までは確かにつたなかったのに、
「やすみのときにみんなですいぞくかんにいった」
ときちんと助詞も使って、しっかりと文章になっていたんです。
そのあとも冬休みの楽しかった話をどんどん話してくれるゆうた君。
まるで話せることが嬉しいような…そんな風に感じました。
そしてその日のお帰りの時間に、お母さんに飛びついて喜びを伝えました。
お母さんも冬休みのゆうた君の成長に、とても驚いた様子で、
「今日は先生をビックリさせようと思って、あえてお電話しなかったんです。」と嬉しそうに笑っていました。
家での様子も随分落ち着いてきたので、この休みに色々お出かけをしたんだそうです。
それが良い刺激になったのか、家での自分たちとの関わりがそうさせたのかはわからないが、急に言葉がスムーズに出てくるようになって…
とにかく、冬休みの間の何かがきっかけで、ゆうた君は殻を割ることが出来ました。
お母さんは言いませんが、きっと家でもゆうた君との時間を大切にされていたんだと思います。
このときは人目もはばからず泣いてしまいました。
まさか初めての正夢がこんな素敵なことだなんて…
嘘みたいですが、全て事実です。
しかし、子どもの成長って、なんでこんなに泣けるんでしょうね。
幼稚園勤務中に一生分の涙を流した気がします。
もちろんこれでゴールではありませんから、ゆうた君との日々はまだ続きます。
ですが、大きな山場を超えたような、そんな感覚がありました。
次回…時は過ぎて、年長さんになったゆうた君の成長、そして卒園へ。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
⑤幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
ゆうた君の症状の中で、お母さんが一番心配していたこと。
それは言葉の遅れです。
初めて会ったときのゆうた君は、ほとんど言葉を発しませんでした。
言葉の遅れに対して一番有効なことは、とにかくたくさん言葉を聞かせることです。
私たちはそれを言葉のシャワーと呼んでいました。
発達障害にかかわらず、言葉の遅れを心配される親御さんはとても多いです。
その親御さんにも、「とにかくたくさん話をしてください」と言っていました。
子どもから発信がなくても、声をかけて反応が返ってこなくても、とにかく続けてください、と。
言葉の発達は、例えるならば、コップの中の水です。
イメージを絵にしてみました。
子育てを経験されたお母さん。
思い返してみると、この前まではつたないしゃべり方だったのに、急にすごくおしゃべりになった!という経験はありませんか?
コップがいっぱいになるまでは時間がかかりますが、あふれ出すと一気に言葉が出てくるお子さんはとても多いんですよ。
そして知っておいて欲しい一番大事なこと。
それは、コップの大きさ、形は人それぞれということです。
すぐに言葉があふれて、おしゃべりが出来るようになる子もいれば、コップが大きい、入り口が小さくて、なかなか話せない子もいます。
言葉の発達に関しては、本当に個人差が大きいです。
これも気長に、根気強く続けるしかありません。
ゆうた君も時間はかかりましたが、少しずつその効果は出始めました。
もちろんすぐにお母さんに報告です!
すると、お家でも言葉が少しずつ出てくるようになったと話してくれました。
ちょっとずつ前に進んでいる。
それが実感でき、2人で喜びに浸りました。
ですが、まだ文章を話すことが出来ないゆうた君。
今は単語をつなげて文をつなげています。
「せんせい、トイレ」
「こうえん、いった」
「かぶとむし、とった」
という感じです。これが文章らしくなるには、助詞をうまく使えないといけません。
言葉の遅れがある子はここでつまずくことが多いです。
「せんせい、トイレにいきたい」
「こうえんに、いった」
「かぶとむしを、とった」
いつかゆうた君からこんな言葉たちが聞けるのを心待ちにしながら、日々言葉のシャワーを続けるのでした。
そして、私は幼稚園生活で、これ以上無いすばらしい経験をすることになります。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
④幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
少しずつ幼稚園にも慣れてきたゆうた君でしたが、また新たにトラブルが発生しました。
今度はお友達とのコミュニケーションです。
お友達との関わり方がわからず、また言葉がうまく話せないゆうた君は、手が出るようになっていきました。
もちろん悪気があるわけではありません。
お友達のおもちゃがほしいな~と思うと、いきなり取り上げたり。
砂場で遊んでいて、お友達の作った山を踏みつけて砂の感触を楽しんだり。
ゆうた君は心のままに動いているだけなのですが、それが相手にとってどういう気持ちになるのかがわからないのです。
ちなみに、子どもたちに注意するときに大切にしていたのは
「何がいけないのか」「どうしていけないのか」を伝えることです。
ただ注意するだけでは「怒られた」としか頭に残りません。
そうではなく、自分の何がいけなかったのかを知り、次から気をつけられるようにすることが大事です。
もちろんゆうた君にも同じようにしていました。
それでもやはりすぐにはなくならず……
注意の仕方はその時によって変わります。
危険なことをしたときには、いつもよりも強い口調で話し、「自分がいけないことをしたんだ」と伝えていました。
このときはすぐ止められたからよかったものの、少し遅れていればけが人が出ていたかもしれません。
これを聞いて「厳しいんじゃないのか」と思う人もいるかもしれません。
私は発達障害の子と関わる上で気をつけていることがあります。
それは特別扱いをしないこと。
「この子は発達障害だから、危ないことをしてもしょうがない」
「他の子と同じように注意したところでわからない」
という偏見をしないという意味です。
確かに発達障害の子が、こういうトラブルを起こすのは仕方の無いことです。
ですが、していること自体は、誰がしていてもダメなことです。
そこを指摘して、教えることが大人の役割だと、私はそう思います。
もちろんその後のケアも忘れずにします。
ゆうた君が叱られた嫌な気分のままで終わらないように、しっかりコミュニケーションをとりました。
これは、どんな子に対しても同じです。
こうして、注意されたり、でもいっぱい遊んで、褒めて…
先生は自分のことを見てくれているという感情が、信頼関係の第一歩だと思います。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
③幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
まず、発達障害について簡単に説明させてください。
発達障害には種類があって、
①自閉症(言葉の遅れ、コミュニケーションの障害、など)
➁アスペルガー症候群(言葉の遅れはない。主に対人関係の障害、など)
③ADHD《注意欠陥多動性障害》(じっとしていられない、集中が続かない、など)
④LD《学習障害》(読み書き、計算など、学習面での障害)
とあり、一応それぞれの症状の定義はあります。
しかし、明確な線引きというのは存在しません。
ほとんどの場合、それぞれの特徴が重なり合っているんです。
ADHDだけど、学習面も遅れていたり。
アスペルガーだけれど、ADHDの節もあるし…みたいな感じです。
私も発達障害についての研修に何度も参加しましたが、どの講師の先生もそこの線引きは曖昧だとおっしゃっていました。
なので本当に大切なのは、その子がどんな特性を持っているのかを見極めることです。
何が出来て、何が難しいのか、それを判断して適切に補助する。
することは他の子たちに対してと、なんら変わりないんです。
前置きが長くなってしまいましたが、ゆうた君の話に戻ります。
ちなみにゆうた君はADHDと言葉の遅れが混ざったような症状でした。
幼稚園で過ごすとなると、集団行動がほとんどです。
みんなで外に行く、トイレに行く、製作をする、他の部屋へ移動する…
それがゆうた君にとってはなかなか難しかったんです。
自分のしたいこと、興味に気持ちがむいてしまうので、気がつくと反対方向に走っていることもありました。
そしてこんなことも…
話をするときは、他に気の散るようなもののない場所で話をすることも大切です。
この社会で生きて行くにはルールを知る必要があります。
幼稚園は、子どもたちが経験する初めての社会生活です。
とにかく何度でも、同じ話であろうと、初めてのように繰り返し話します。
出来たときには思いっきり褒めます!
すると
ゆうた君は満面の笑みを見せてくれました。
もちろん次の日には出来なくて、また話をして、の繰り返しです。
随分省いていますが、それにはかなりの時間を使っています。
ですが繰り返すほど、ゆうた君は他の子たちと同じように動けるようになっていきました。
発達障害の子は確かに、他の子よりも学ぶのに時間が必要です。
ですが逆に言えば、
「時間をかければ出来る」ということ。
そこに時間をかける労力、根気、そして愛情があるかどうかということ。
ゆうた君と向き合って、それを肌で感じました。
もちろん発達障害の重さにもよるとは思います。
誰しもが出来るようにならないかもしれません。
実際問題、意思疎通も出来ないくらい重度な障害ともなると、難しいのも事実です。
しかし、私は今まで色んな発達障害の子をみてきましたが、どの子も他の子と同じ小学校に進学しています。
なので、時間をかけてしっかりその子と真剣に向き合えば、かけた時間だけ子どもたちは成長してくれると身をもって知っています。
言うは易し、行うは難しですが、決してはじめから諦める必要は無いと、私は思っています。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
➁幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
自分の息子が「発達障害」だと打ち明けたお母さんは、泣きながら話し始めました。
それが初めて明言されたのは1歳半健診。
保健師さんに質問をされて指さしをしたり、簡単な観察が行われるのですが、そこで少し発達の遅れがあると診断されました。
しかし、うちの子は少しゆったりしているだけ。
私も色々出来るようになるのは遅い方だったし、大丈夫だろう。
そう思って気持ち半分で聞いていたそうです。
そして3歳健診。
そこで、以前よりもはっきりと発達の遅れの指摘を受けました。
この頃は少しお母さんにも思い当たるところがあったそうです。
もしかしたら…そういう一抹の不安が胸をよぎっていました。
マニュアル的に冷たく言い放った保健師さんの言葉がすごくつらかったそうです。
まるで息子を「普通じゃない」と言われたような、そんな気持ちで家に帰ってきました。
ありがたいことに、うちの園を見学に来たときに、お母さんの教育方針ともぴったり合っていて、ここに入れたいと思ってくれていました。
確かにうちの子は発達に遅れがあるかもしれない。
先生が言うように、そういう施設に入れれば、その子にあったスピードでやってくれるのかもしれない。
でも、息子には他の子と同じように過ごして欲しい。
あの幼稚園で、みんなと一緒に笑って、泣いて、時にはつまづいて、成長していって欲しい。
それを願ってはならないのか。
もしうちの子のことを話したら、幼稚園は受け入れてくれない…?
その不安が拭えず、園の方にはとりあえず黙ったまま入園することを決めました。
そのままうまく行けば良し。
もしダメなら、そのときは…
お母さんは滝のように涙を流しながら話してくれました。
私はその話に胸が苦しくて…黙って頷きながら聞くしかありませんでした。
お母さんが幼稚園に言えなかった気持ちは痛いほどわかります。
他の親御さんたちもそうでしたか、保健センターなどで自分の子どもが発達障害と言われた時、それをすんなり受け止められる人はほとんどいません。
私も1人の母として、もし同じことになったら…
ゆうた君のお母さんのように、自分の子がまるで「普通じゃないと」言われた気がしてしまうと思います。
話を聞いた私は、気づいたときにはお母さんの手を取っていました。
このお母さんの気持ちに応えたい。
ゆうた君としっかり向き合ってあげたい。
その日から、私とゆうた君の一年が始まったのでした。
おわりに
もちろん保健師さんがみんなそうという訳ではありません。
しかし実際、ゆうた君のお母さんのように、健診で保健師さんに冷たく言い渡される人はたくさんいました。
ほんの少しの時間で子どもの何がわかるのか。
観察やテストも、そんなことで何が分かるんだというような 内容のものだったり…
私が幼稚園に勤務中の間に、何人ものお母さんから相談を受けたことがあります。
中には親身になってくれる保健師さんもいらっしゃるという話もありましたが…
なかなか難しいですね…
悩んでいる方がいらしたら、どうか抱えこまないでほしい…
ただそう祈るばかりです…
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
①幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
おはようございます、マミ子です。
私は最近twitterで悲しいつぶやきを目にしました。
それは、保育園の先生が「発達障害を持つ子」に対して偏見の目を持っている、「あの子は大変だから」とどこか見放している、といった内容でした。
しかも、それに共感している人たちがとても多かったんです。
朝から胸が苦しく、とても悔しい気持ちになりました。
その先生たちは、本気で子どもたちに関わっているのだろうかと。
親御さんの気持ちをどう受けとめているのかと。
私は幼稚園教諭として務めてきた間、何人もの発達障害を持つ子どもたちに出会っています。
私が関わったある発達障害の男の子。
その子のことを少しお話しさせてください。
そして、1人でも多くの保育士、幼稚園教諭の先生の心に響いて欲しいと願います。
私が年少クラスの受け持ちだったときの話です。
私のクラスには30人程だったのですが、その中に1人の男の子がいました。
特にみんなで一斉に何かをするというときに、1人目立つことが多かったです。
自分の気持ちに正直で、周りの動きに同調することが難しい印象でした。
電話口のお母さんの声は暗く、とても申し訳なさそうにしていました。
とにかく全ては明日会ってから話そうということで、翌日の放課後に話し合いの場を設けることに。
私は園長に事情を説明し、翌日の話し合いに同席してもらうことにしました。
そして、次の日の放課後。
ご両親お二人で来られたのですが、部屋に入るなりお母さんがぽろぽろと涙を流し始めたんです。
お母さんは絞り出すように言いました。
「発達障害」
そして、ポツリ、ポツリと少しずつ、これまでに起こったことをお話ししてくれたんです。
次回に続きます。
おわりに
発達障害のお子さんついて話することは、とてもデリケートなことなので、本当は書くかとても悩みました…
これを読んで、気分を悪くされる方もいるんじゃないか…
そんな思いもありましたが、それ以上に伝えたいことがあったので、書く事を決めました。
どうぞお付き合い頂けると嬉しいです。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。
ダンナ様にからかわれました
おはようございます、マミ子です!
ご結婚されている皆様。
お相手の方とのコミュニケーションはどのように取られていますか?
あまり会話をしない方。
友だちのような関係の方。
ラブラブな恋人のままの方。
色んな形がありますよね。
ちなみにうちのダンナは…
絡み方が相当ウザいです。
可愛いと感じるときもあるのですが、基本いつもふざけています。
こういうボケをいきなりかましてくるので、自然と手が出てしまいます。
このときも自然な流れでボディーブローが決まりました。
まあ仲がいいからできるので、嬉しいことではあるのですが…
つ・か・れ・る♪
毎日はやめてくれ……
ですが、わざわざからかいに来てくれる旦那さまに感謝(?)しておきます!
今日はやっと少しの晴れ間が見えましたね!
この晴れ間が続いてくれますように…
でも暑いのは勘弁して〜!!!
今日もがんばりましょー!!