④幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
少しずつ幼稚園にも慣れてきたゆうた君でしたが、また新たにトラブルが発生しました。
今度はお友達とのコミュニケーションです。
お友達との関わり方がわからず、また言葉がうまく話せないゆうた君は、手が出るようになっていきました。
もちろん悪気があるわけではありません。
お友達のおもちゃがほしいな~と思うと、いきなり取り上げたり。
砂場で遊んでいて、お友達の作った山を踏みつけて砂の感触を楽しんだり。
ゆうた君は心のままに動いているだけなのですが、それが相手にとってどういう気持ちになるのかがわからないのです。
ちなみに、子どもたちに注意するときに大切にしていたのは
「何がいけないのか」「どうしていけないのか」を伝えることです。
ただ注意するだけでは「怒られた」としか頭に残りません。
そうではなく、自分の何がいけなかったのかを知り、次から気をつけられるようにすることが大事です。
もちろんゆうた君にも同じようにしていました。
それでもやはりすぐにはなくならず……
注意の仕方はその時によって変わります。
危険なことをしたときには、いつもよりも強い口調で話し、「自分がいけないことをしたんだ」と伝えていました。
このときはすぐ止められたからよかったものの、少し遅れていればけが人が出ていたかもしれません。
これを聞いて「厳しいんじゃないのか」と思う人もいるかもしれません。
私は発達障害の子と関わる上で気をつけていることがあります。
それは特別扱いをしないこと。
「この子は発達障害だから、危ないことをしてもしょうがない」
「他の子と同じように注意したところでわからない」
という偏見をしないという意味です。
確かに発達障害の子が、こういうトラブルを起こすのは仕方の無いことです。
ですが、していること自体は、誰がしていてもダメなことです。
そこを指摘して、教えることが大人の役割だと、私はそう思います。
もちろんその後のケアも忘れずにします。
ゆうた君が叱られた嫌な気分のままで終わらないように、しっかりコミュニケーションをとりました。
これは、どんな子に対しても同じです。
こうして、注意されたり、でもいっぱい遊んで、褒めて…
先生は自分のことを見てくれているという感情が、信頼関係の第一歩だと思います。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。