⑧幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
いよいよゆうた君の卒園の日。
卒園式では、卒園証書授与の時に子どもたちの名前を1人ずつ呼び、大きな声で返事をして立ちます。
そして壇上に上がり、園長先生から直接証書を受け取るという流れです。
ゆうた君の名前が呼ばれました。
「はいっ!」と大きな声で返事をしたゆうた君。
少しぎこちない動きで壇上に上がっていきます。
ゆうた君の誇らしげな顔。
保護者席をちらっと見ると、お母さんが顔を真っ赤にしながら泣いていました。
きっと色んな思いがわき上がってきたのだと思います。
子どもたちの最後の晴れ舞台は、こうして幕をとじました。
私が他の子たちとの話が終わるのを、わざわざ待っていてくれたようでした。
卒園式の緊張から解放されたゆうた君はとても上機嫌です。
その横で、お母さんは深く私にお辞儀をしてくれました。
「この三年間、不安で眠れない日もあったし、つらくて逃げ出したいときもありました。でも今日の姿を見て、全てが報われたような、そんな気がしました。」
「そして、この三年間やってこれたのは、先生方が私の心の支えになってくれたおかげです。初めて相談したときにに先生が、二人三脚でやっていきましょうと言ってくれたことで、私1人で抱え込まなくていいんだと…心が軽くなったんです。」
涙が止まりませんでした。
こんなにありがたい言葉をもらって、これ以上無い幸せです。
ゆうた君と本気で向き合ってよかった。
私の方が、色んなことを学ばせてもらい、そして素晴らしい経験もたくさんさせてもらいました。
私こそ、もらってばかりです。
私にとっても、ゆうた君たちに出会えたことが幸運だったと思いました。
ゆうた君は最後までゆうた君で、また明日もいつものように来るんじゃないか…そう思わせるような挨拶でした。
ありがとう、ゆうた君。
私に出会ってくれて。
私を先生にしてくれて、ありがとう。
ゆうた君と出会って、向き合ってわかったこと。
子どもの教育は家の問題。
そう思う方は多いかもしれません。
しかし私たち保育者は、この頃の子どもたちと過ごす時間が長いです。
つまり、幼稚園、保育園で過ごす時間が与える影響はとても大きいということ。
そして人はこの幼児の時の経験などをもとに人格形成がされるとも言われています。
その大切な時期の大部分を一緒に過ごすわけです。
この時期の子育ては、まさに二人三脚。
私たち保育者の関わりで、子どもたちを変えることが出来るし、子育てに悩むお母さんたちの手助けや支えになれるんです。
それは、発達障害の子だって同じなんです。
むしろ、私たちの役割はさらに大きいものになり得るかもしれません。
だから、保育者が初めから発達障害の子に諦めの姿勢であたるなんて、そんなことは絶対にしないで欲しい。
私たちが本気で向き合えば、どんな形であれ、必ず子どもたちは応えてくれます。
もちろんそれは簡単なことではないかもしれません。
園の環境もありますし、親御さんの理解も必要になってきます。
でもまずは、保育者側の意識が変わらなければ、状況は絶対に変わらないと思います。
きっと私と同じ考えのもと、日々奮闘していらっしゃる保育者の方もたくさんおられるでしょう。
どうかその方々と、その先生に関わる子どもたち、親御さんが、素敵な園生活を送れますように。
この三年間が、その子どもたちにとっての一生の宝となりますように。
おわりに
悲しいツイートをみてから衝動的に書き始めた記事でしたが、色んな方から反応いただき、とても嬉しかったです。
最後は少し感情的に書いてしまったので、わかりにくかったらすみません。
ですが、これは働いていた頃から、いつかみんなに伝えたい!と思っていたことの一つだったので、このように表現できて、とても嬉しく思っています。
またこのように、私の経験を活かしてお話しできる機会があればなと思います。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。