③出産したら母になれると思ってました ~めまいに襲われる~
前回の続きになります。
朝起きると、激しいめまいに襲われ、急遽病院に向かったのですが…
先生の言葉が胸をえぐる
かかりつけの産婦人科に着き、事情を説明すると、すぐに診察室に通してもらえました。
そしてそのまま一時間の点滴、子宮の内診と移っていきました。
点滴をしてもらい、ほんの少しよくなったものの、すぐにめまいはひきません。
ぐわんぐわんとなりながら、内診の結果を先生に聞きに行きました。
(もし、赤ちゃんに何かあったら、どうしよう……)
なんとも言えない不安に襲われながら診察室に入ると、院長先生が座っていました。
院長先生は忙しそうに書き物をしながら、こちらの顔を見ることなく
「赤ちゃんは何の問題もありません、大丈夫」
と軽く答えました。
「そうですか…!よかった~…」
安堵したのも束の間、先生は書き物をやめ、まるで品定めをするかのようにこちらを見てから、たたみかけるように早口で言いました。
「私たちは赤ちゃんを守るためにいる。でも、こればっかりは、アンタがしっかりしてくれんことにはどうにもならん。家でちゃんとしてるかなんてまで管理できないでしょ?私らは赤ちゃんのために言ってるんやから、そこらへんのところ――」
その後も色々言われましたが、はっきりとは覚えていません…
どうやら水分不足が原因。
そもそも妊婦は赤ちゃんに栄養を送るのに血液を使うので、普段より多くの水分を取らないといけないそうなのですが、つわりでそれが出来ておらず、貧血状態になったんだとか。
私の自己管理不足が引き起こしたことだそうです。
先生の言っていることは全く正しい。
でも私は先生の言葉に頭が真っ白になり、診察室から出てもその言葉をリピートしていました。
(赤ちゃんがかわいそう)
(赤ちゃんが、かわいそう)
(こんな母親で、かわいそう…)
待合室で待っている間、隣で話を聞いていた夫は背中をさすってくれました。
「も~こんな叱られるなんて思えへんかったわ~」
とおどけてみせると、なんと声をかけていいのかわからないといった様子で、「そうやな」とさすってくれました。
すると、院長先生の隣で話を聞いていた看護師さんが私の所にわざわざ来てくれました。
「大丈夫~?めまいはまだしてる?」
私の体調を気にかけて声をかけに来てくれたようでした。
そして
そう言われた瞬間に、
今まで必死で押さえていた涙がぼたぼたあふれてきました。
私がもちろん悪かった。
でも、先生の言葉に、私の全てを否定されたような
そんな気持ちになったんです。
つわりで気持ちが沈んでいたためかもしれません。
赤ちゃんのためにも、これからはもっと気をつけよう…
そう思いました。
それから毎日しっかり水分を取るように気をつけていました。
喉が渇いてからではなく、乾く前に飲むことをこころがけ、体調もずいぶんよくなっていきました。
もうあんな思いはしたくない…
そう思っていました。
そして、日に日につわりの症状が落ち着いていきます。
5ヶ月目に入ると、ずいぶんと楽になってきたんです。
吐き気や食欲も少しずつ改善され、私の心も落ち着いてきました。
やっと、待ち焦がれた安定期に入ろうとしていたんです!
次回に続きます。
あとがき
この記事を書きながら、今も泣いてしまいました。
ちょっとしたことですが、私の中からはきっと一生消えないと思います。
こんな経験をされた方は他にもいらっしゃると思います。
そんな方に、自分だけじゃないんだと、少しでも励みになりましたら幸いです。