⑦幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
冬休みで殻を破り、言葉が出てくるようになったゆうた君。
三学期はあっという間に終わり、ゆうた君は年中さんになりました。
次の先生にしっかりと引き継ぎをし、私は少し離れたところから見守ります。
学年が違うのでそばで見守ることは出来ませんが、同じ園の中にいるのでチラチラと気にしていましたね。
お母さんも、たまに私の所に来てくれ、最近のゆうた君の様子などを教えてくれました。
学年が上がれば、また新しい壁にぶつかることもあります。
しかし、年少の一年間で基礎を作っていたゆうた君はしっかりと乗り越えてくれました。
そして、時は過ぎ、ゆうた君が年長さんになり…
担任にはなれませんでしたが、私は年長担任だったので、最後の一年を近くで見守ることが出来ました。
初めはお友達との関わり方がわからず、自分の好きなようにしていたゆうた君。
ですが今ではきちんとお友達のことを意識し、行動することが出来ていました。
特に驚いたのは、年下の子に対しての接し方です。
泣いている年少さんがいたのですが、「先生この子泣いてたよ」と手を繋いで連れてきてくれたのです。
そのあとも「大丈夫やで、もう泣かなくていいよ~」と声をかけてあげていました。
こんな風に出来るようになった理由は、二つあると思います。
①友だちとの関わり
この園では、年長さんが年下の子のお世話を積極的にしてくれるので、「僕が年長さんになったら、次は自分がしてあげよう」という気持ちが自然と受け継がれていきます。
また同じクラスの中でも、お世話好きの子がいると、「ゆうた君、手伝ってあげる」と困っているゆうた君に声をかけてくれる子もいました。
このような関わりがゆうた君の中にも確かに残って、今まさに他の子たちにしてあげられるようになったんだと思います。
これは幼稚園という小さな社会だからこそ学びやすい事なのかもしれませんね。
➁言葉の発達
そもそもゆうた君がお友達に手を出してしまっていた理由の一つは、言葉で気持ちが伝えられないからです。
例えば「あそびたい」と思っていても、それを伝える方法が分からず、先に手を出してしまう、なんてこともありました。
それが今では「あそぼう」と言葉で伝える術を覚えたので、お友達との関係もスムーズに進みやすくなったんです。
もちろんまだまだうまくいかずにお友達とトラブルになることもあります。
ですが、その話をゆうた君にしたときも
ゆうた君の再びそばで見守ることによって、彼の成長がよくわかりました。
もちろん成長していた部分はこれだけではありません。
行事の練習中、先生の指示をしっかり聞き、集中して取り組むゆうた君。
もともとADHDの症状として、「じっとしていられない」というものがゆうた君にもあります。
長時間の練習となると集中が途切れることもあるのですが、入園した頃のように途中で投げ出すこともなく、最後までやりきっていました。
集中力というのは勉強、運動に限らず、全てのことに影響してきます。
むしろ全てと言っても過言ではないかもしれません。
その集中力もずいぶんついて、他の子たちと混ざっていても目立たないくらいになっていました。
ゆうた君の成長に驚かされることばかりの一年。
この一年は語り尽くせないくらい濃いものでした。
充実した一年はあっという間に終わりを迎えます。
卒園の時が近づいてきていました。
次回、最終回です。
本当は今回が最後のつもりでしたが、書き出すと長くなってしまったので次回に延ばします。
ゆうた君との日々が私に教えてくれたこと、その上でみなさんにお伝えしたいことを書きますので、最後までお付き合いください。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。