⑨出産したら母になれると思ってました ~出産を終えて~
前回の続きです。
壮絶な出産を終えた私。
その日から新たな地獄との戦いでした。
入院生活始まる
出産の際、初めての方は会陰切開をするそうで、私もその1人です。
切られたときは出産の痛みの方が強いので、ほとんど痛みを感じません。
(はさみで切るときに、バチンッという激しい音がいます。)
とにかくいつもズキズキと痛んで、なかなか落ち着かなかったです。
余分に痛み止めをもらっていたので、それでしのぐようにしていました。
娘は看護師さんのところだったので、1人での就寝です。
疲れ切っていたのですが、痛みと気持ちが落ち着かずに寝れなかったのを覚えています。
そして次の日の朝
看護師さんが娘を連れてきてくれました。
昨日ぶりに会った娘はすやすやと眠っています。その寝顔は本当に可愛くて、ずっと見ていられました。
この病院は基本母子同伴なので、これからは夜も一緒に過ごすことになります。
「昨日もすごくいい子でしたよ、全然ぐずらなくてえらかったですよ」
と看護師さんは娘を褒めてくれ、いつでも呼んでねと部屋を後にしました。
いよいよこれから我が子との共同生活…このときの私はまだ楽しみの気持ちが勝っていました。
その日から赤ちゃんを育てるためのレッスンが始まりました。
赤ちゃんも初めてなので、くわえるのが上手ではありません。
とりあえず母乳が出なくても、くわえさせることで出るようになってくるということで、手応えのないままお乳をあげていました。
そのあとミルクを作ってあげると、すごい勢いで飲む娘を見て私は「早く出してあげなくちゃ」と気負ってしまいました。
その後も母乳が出るように胸をマッサージしたり、三時間ごとにくわえさせたりはしていたのですが、一向に出る気配がありません。
看護師さんはにこやかにミルクを持ってきてくれるのですが、「こんなにもらっているのは私だけかもしれない」「かんたんに甘えすぎじゃないの?」と思われているんじゃないかと不安でした。
正直ナースコールをすることも、心の負担になっていました。
そしてミルクをあげた後も泣き止まない場合はひたすら抱っこ。
しかし私の抱き方もおぼつかず、なかなか娘は泣き止んでくれません。
私の体は出産のダメージが残ったまま。
その中で初めての育児が始まり、右も左も分からないまま時間が過ぎていく。
自分が早く母親としてしっかりしなければ。
この子はもう生まれてしまった。
ここに存在している。
この子の命を繋ぐ生命線が私。
しっかりしなければ。
入院生活はまだ始まったばかり……
次回に続きます。