③幼稚園教諭として本気で発達障害に向き合うということ
前回の続きです。
もしよろしければ前回もご覧ください。
まず、発達障害について簡単に説明させてください。
発達障害には種類があって、
①自閉症(言葉の遅れ、コミュニケーションの障害、など)
➁アスペルガー症候群(言葉の遅れはない。主に対人関係の障害、など)
③ADHD《注意欠陥多動性障害》(じっとしていられない、集中が続かない、など)
④LD《学習障害》(読み書き、計算など、学習面での障害)
とあり、一応それぞれの症状の定義はあります。
しかし、明確な線引きというのは存在しません。
ほとんどの場合、それぞれの特徴が重なり合っているんです。
ADHDだけど、学習面も遅れていたり。
アスペルガーだけれど、ADHDの節もあるし…みたいな感じです。
私も発達障害についての研修に何度も参加しましたが、どの講師の先生もそこの線引きは曖昧だとおっしゃっていました。
なので本当に大切なのは、その子がどんな特性を持っているのかを見極めることです。
何が出来て、何が難しいのか、それを判断して適切に補助する。
することは他の子たちに対してと、なんら変わりないんです。
前置きが長くなってしまいましたが、ゆうた君の話に戻ります。
ちなみにゆうた君はADHDと言葉の遅れが混ざったような症状でした。
幼稚園で過ごすとなると、集団行動がほとんどです。
みんなで外に行く、トイレに行く、製作をする、他の部屋へ移動する…
それがゆうた君にとってはなかなか難しかったんです。
自分のしたいこと、興味に気持ちがむいてしまうので、気がつくと反対方向に走っていることもありました。
そしてこんなことも…
話をするときは、他に気の散るようなもののない場所で話をすることも大切です。
この社会で生きて行くにはルールを知る必要があります。
幼稚園は、子どもたちが経験する初めての社会生活です。
とにかく何度でも、同じ話であろうと、初めてのように繰り返し話します。
出来たときには思いっきり褒めます!
すると
ゆうた君は満面の笑みを見せてくれました。
もちろん次の日には出来なくて、また話をして、の繰り返しです。
随分省いていますが、それにはかなりの時間を使っています。
ですが繰り返すほど、ゆうた君は他の子たちと同じように動けるようになっていきました。
発達障害の子は確かに、他の子よりも学ぶのに時間が必要です。
ですが逆に言えば、
「時間をかければ出来る」ということ。
そこに時間をかける労力、根気、そして愛情があるかどうかということ。
ゆうた君と向き合って、それを肌で感じました。
もちろん発達障害の重さにもよるとは思います。
誰しもが出来るようにならないかもしれません。
実際問題、意思疎通も出来ないくらい重度な障害ともなると、難しいのも事実です。
しかし、私は今まで色んな発達障害の子をみてきましたが、どの子も他の子と同じ小学校に進学しています。
なので、時間をかけてしっかりその子と真剣に向き合えば、かけた時間だけ子どもたちは成長してくれると身をもって知っています。
言うは易し、行うは難しですが、決してはじめから諦める必要は無いと、私は思っています。
※これはあくまで私の体験です。全ての発達障害のお子さんにあてはまるものではありません。そのご理解の上で読んでいただけると幸いです。